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シラーの頌歌『歓喜に寄せて』の元の詩

今回の第九は、私にとって、くじらでの3回の演奏の内で最も充実感を感じられる第九でした。渡辺さんの指揮が素晴らしかったです。その感激の冷めぬ内に、温めていた記事を載せさせて頂きます。
ベートーヴェン第九交響曲第4楽章は、シラーの頌歌『歓喜によせて』に基づいています。しかし、ベートーヴェンは、冒頭の彼自身の手により付け加えた部分を除いても、シラーの詩をそのまま使っていません。
そこで、元の詩はどうなっているかを調べて見ました。シラーの『歓喜によせて』の詩の前半部を元の形で後ろに載せておきましたが、まず8行からなる一つの集まり(連といいます)があり、次に4行の連が現れます。この組み合わせが全体で9回繰り返されます。ベートーヴェンが第九で使っている部分が含まれている最初の4回までを拙訳とともに載せました。
当然なことかも知れませんが、元の詩に戻して読んでみると、シラーの言葉の力がより強く感じられます。少しベートーヴェンの第九の理解が深まったような気がしました。
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An die Freude
歓喜に寄せて
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Freude, schöner Götterfunken, 
Tochter aus Elysium, 
Wir betreten feuertrunken, 
Himmlische, dein Heiligtum! 
* Deine Zauber binden wieder,
was die Mode streng geteilt;
alle Menshen werden Brüder, 
wo dein sanfter Flügel weilt. *
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歓喜よ、神々のもたらす美しき煌めきよ、
至福の園の娘よ、
我らは炎に酔いしれ、
天なるものよ、お前の聖地に踏み入る! 
*お前の魔力は、再び結びつける、
容赦なく時が隔てたものを。
全人類が兄弟となるのだ、
お前の柔らかな翼が留まるところで。*
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Seid umschlungen, Millionen !

Diesen Kuß der ganzen Welt !

Brüder ! überm Sternenzelt

muß ein lieber Vater wohnen.
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抱き合え、百万の人々よ!
この口づけを全世界に!
兄弟達よ!星が輝く天蓋の彼方に
愛する父がおられるはずだ。
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Wem grosse Wurf gelungen, 
Eines Freundes Freund zu sein, 
Wer ein holdes Weib errungen, 
Mische seinen Jubel ein! 
* Ja, wer auch nur eine Seele
sein nennt auf dem Erdenrund! 
Und wers nie gekonnt, der stehle 
weinend sich aus diesem Bund. *
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一人の友の友となるという、
大いなる業を成し遂げた者よ、
優しい妻を求め得た者よ、
その喜びをひとつにせよ! 
*そう、この地球上で、
ただひとつの魂でもわがものと呼べる者も!
そして、それがかなわなかった者は、
この集いより涙して立ち去るがよい。*
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Was den großen Ring bewohnet
Huldige der Sympathe!
Zu den Sternen leitet sie,
Wo der Unbekannte thronet. 
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この大いなる集いに身を置く者は
共感に身を捧げよ!
共感は星々の高みに我らを導く、
そこは知られざる者が統べたもう場所。
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Freude trinken alle Wesen 
an den Brüsten der Natur, 
alle Guten, alle Bösen 
folgen ihrer Rosenspur. 
* Küsse gab sie uns und Reben, 
einen Freund, geprüfut im Tod; 
Wollust ward dem Wurm gegeben, 
und der Cherub steht vor Gott!! *
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全ての命あるものは歓喜を
自然の乳房より飲み、
全ての善きもの、悪しきものは
その薔薇の香りを辿る。
*歓喜は我等に口づけと葡萄を、
そして死の試練を超えて一人の友を与えた。
官能の快楽は虫けらに与えられるが、
神の御前にはケルビムが立ちはだかる!*
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Ihr stürzt nieder, Millionen ?

Ahnest du den Schöpfer, Welt ?

Such ihn überm Sternenzelt !

Über Sternen muß er wohnen.
-
ひざまずくか、百万の人々よ?
創造主を感ずるか、世界よ?
星が輝く天蓋の彼方に、あの方を求めよ!
星々の彼方に、あの方がおられるはずだ。
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Freude heißt die starke Feder
In der ewigen Natur.
Freude, Freude treibt die Räder
In der großen Weltenuhr.
Blumen lockt sie aus Keimen,
Sonnen aus dem Firmament,
Sphären rollt sie in den Räumen,
Die des Sehers Rohr nicht kennt.
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歓喜は、永遠なる自然の
強き発条(ぜんまい)。
歓喜よ、歓喜よ、歯車を回せ、
大いなる世界時計の歯車を。
それは花々を芽吹きより、
太陽を蒼穹より誘い出し、
預言者の遠眼鏡にも知れぬ
空間にて天球を回すのだ。
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Froh, wie seine Sonnen fliegen
Durch des Himmels prächit'gen Plan,
* Laufet, Brüder, eure Bahn,
Freudig wie ein Held zum siegen! *
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喜ばしきかな、燃ゆる星々が
壮麗なる天の広場を翔ける如く、
*駆抜けよ、兄弟達よ、お前たちの道を、
嬉々として、勝利へ向かう英雄の如く。*
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以下略
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第九での扱いを簡単に整理すると。
*で囲った部分は合唱で繰り返す。
2回目のの4行連、4回目の8行連が第九では使われていない。
1回目の4行連か8行連と離され、ずっと後ろで使われている。
3回目の4行連は、1回目の4行連の直後に続いて歌われる。
4回目の4行連は、テナー独唱と男声合唱による復唱という、1~3回目の8行連と同じような使われ方(歓喜の主題を変奏しながら歌う)をしている。
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石倉直人(訳も)

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